介護報酬の単位数と単価の計算方法|地域区分とは何か、わかりやすく解説

介護保険の請求業務に関わる中で、「単位数はわかるけれど、実際に何円になるのかよくわからない」「地域区分という言葉は聞いたことがあるが、どう計算に関係するのかが曖昧」という疑問を持つ方は少なくありません。
この記事では、介護報酬の基本的な構造から、1単位あたりの単価の決まり方、地域区分の意味と種類、実際の報酬額の計算方法まで、介護事務や介護職員が理解しておくべき内容を実務目線で整理して解説します。
介護報酬の基本的な構造
介護保険サービスを提供した事業所が受け取る介護報酬は、次の計算式で算出されます。
算定した単位数 × 1単位あたりの単価(円) = 介護報酬額(円)
「単位数」とはサービスの内容・要介護度・時間などに応じて国が定めた点数のことです。たとえば訪問介護の身体介護30分未満であれば「244単位」というように、サービスごとに定められています。加算や減算がある場合はそれらを加減した合計単位数が請求の基準となります。
「1単位あたりの単価」は、全国一律ではありません。事業所がどの地域にあるかによって異なり、この地域による違いを定めたのが「地域区分」です。
地域区分とは
地域区分とは、介護報酬の1単位あたりの単価を地域ごとに調整するための仕組みです。都市部は地方と比べて人件費や物価が高い傾向にあるため、同じサービスを提供しても実際にかかるコストに差が生じます。この差を補正し、どの地域でも適切な介護サービスを安定して提供できるようにするために設けられています。
地域区分は国家公務員・地方公務員の地域手当の設定に準拠して決められており、市区町村単位で設定されています。現在は1級地から7級地および「その他」の合計8区分に分類されています。
令和6〜8年度の地域区分と上乗せ割合
令和6年度の介護報酬改定において、地域区分の単価そのものに変更はありませんでした。令和6〜8年度の地域区分ごとの上乗せ割合は以下のとおりです。
| 地域区分 | 上乗せ割合 | 主な対象地域の例 |
|---|---|---|
| 1級地 | 20% | 東京都特別区(23区) |
| 2級地 | 16% | 東京都狛江市・町田市、神奈川県横浜市など |
| 3級地 | 15% | 東京都八王子市・神奈川県鎌倉市など |
| 4級地 | 12% | 埼玉県朝霞市・千葉県船橋市など |
| 5級地 | 10% | 大阪府堺市・茨城県つくば市など |
| 6級地 | 6% | 宮城県仙台市・京都府宇治市・埼玉県川越市・千葉県木更津市など |
| 7級地 | 3% | 北海道札幌市・山梨県甲府市・長野県長野市・長崎県長崎市など |
| その他 | 0% | 上記以外の市区町村(全国の大多数) |
上乗せ割合とは、基本の10円に対してどれだけ単価が加算されるかを表したものです。1級地では20%の上乗せがあるため、後述する計算によって1単位が最大11.40円になります。「その他」は上乗せがなく、1単位10円が基本となります。
自分の事業所がどの地域区分に該当するかは、厚生労働省が公表している「介護保険サービスに係る地域区分の適用地域」の資料で確認できます。令和6年度の改定で一部市区町村の地域区分が変更になっているため、必ず最新情報を確認してください。
令和6年度介護報酬改定後の地域区分については以下の参考記事に一覧が形成されています。
参考:令和6年度~8年度 地域区分(介護)区市町村の等級一覧(2024年4月~2027年3月)|介護健康福祉のお役立ち通信
人件費割合とは
地域区分の上乗せ割合だけでは1単位あたりの単価は決まりません。実際の単価の計算には、サービス種別ごとに定められた「人件費割合」が関係します。
人件費割合とは、そのサービスの提供に占める人件費の割合を示したもので、サービスの性質によって3段階に分けられています。人件費割合が高いサービスほど、地域区分による上乗せの影響が大きくなります。
| 人件費割合 | 対象サービスの例 |
|---|---|
| 70% | 訪問介護 訪問入浴介護 訪問看護 居宅介護支援 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 夜間対応型訪問介護 |
| 55% | 訪問リハビリテーション 通所リハビリテーション 認知症対応型通所介護 小規模多機能型居宅介護 看護小規模多機能型居宅介護 短期入所生活介護 |
| 45% | 通所介護 短期入所療養介護 特定施設入居者生活介護 認知症対応型共同生活介護 介護老人福祉施設 介護老人保健施設 介護療養型医療施設 介護医療院 地域密着型特定施設入居者生活介護 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 地域密着型通所介護 |
訪問介護など人が直接サービスを届けに行く「訪問系」は人件費割合が70%と最も高く、施設系サービスは45%と低く設定されています。これは施設サービスでは建物・設備などの費用も大きいため、相対的に人件費の占める割合が小さくなることを反映しています。
1単位あたりの単価の計算方法
1単位あたりの単価は、次の計算式で求められます。
1単位の単価 = 10円 +(10円 × 地域区分の上乗せ割合 × 人件費割合)
たとえば訪問介護事業所が1級地(上乗せ割合20%)に所在する場合の計算は次のようになります。
10円 +(10円 × 20% × 70%)= 10円 + 1.40円 = 11.40円
同じく「その他」の地域(上乗せ割合0%)の訪問介護事業所であれば、上乗せが0のため1単位は10.00円のままです。
サービス種別・地域区分別の1単位の単価一覧(令和6〜8年度)
| 地域区分 | 上乗せ割合 | 人件費70% | 人件費55% | 人件費45% |
|---|---|---|---|---|
| 1級地 | 20% | 11.40円 | 11.10円 | 10.90円 |
| 2級地 | 16% | 11.12円 | 10.88円 | 10.72円 |
| 3級地 | 15% | 11.05円 | 10.83円 | 10.68円 |
| 4級地 | 12% | 10.84円 | 10.66円 | 10.54円 |
| 5級地 | 10% | 10.70円 | 10.55円 | 10.45円 |
| 6級地 | 6% | 10.42円 | 10.33円 | 10.27円 |
| 7級地 | 3% | 10.21円 | 10.17円 | 10.14円 |
| その他 | 0% | 10.00円 | 10.00円 | 10.00円 |
※上記は令和6〜8年度の単価です。介護報酬改定(原則3年ごと)のたびに見直されますので、改定時には必ず最新情報を確認してください。
実際の介護報酬額の計算例
計算例① 「その他」地域の訪問介護
訪問介護(身体介護中心・30分以上1時間未満)の単位数は396単位です(令和6年度)。事業所が「その他」地域にある場合、1単位は10.00円のため計算は次のようになります。
396単位 × 10.00円 = 3,960円(このうち利用者負担割合分を利用者が、残りを介護保険が負担)
計算例② 1級地の訪問介護(同じサービス)
同じサービスを1級地(東京23区内)の事業所が提供した場合、1単位は11.40円になります。
396単位 × 11.40円 = 4,514円
同じサービス・同じ単位数でも、地域によって約550円の差が生じます。この差が地域区分の役割を示しています。
地域区分と請求業務で注意すること
事業所の地域区分は、介護請求ソフトのマスタ設定に反映されています。開設時や改定時に正しく設定されていないと、単価の計算が誤ったまま請求が行われることになります。介護報酬改定のタイミングでは、自事業所の地域区分に変更がないかを必ず確認し、請求ソフトの設定を更新することが重要です。
また、令和6年度の改定では一部市区町村の地域区分が変更になっています。隣接する地域との公平性を確保するための特例措置が設けられたことにより、従来と異なる区分が適用される市区町村があります。自事業所の区分が変わっている可能性があるため、厚生労働省の公表資料または保険者(市区町村)に確認することをおすすめします。
まとめ
介護報酬の金額は「単位数 × 1単位あたりの単価」で計算され、1単位あたりの単価は地域区分の上乗せ割合とサービス種別ごとの人件費割合によって決まります。地域区分は1級地から7級地・その他の8段階で、都市部ほど単価が高く設定されています。
地域区分の見直しは3年ごとの定期的な介護報酬改定に合わせて行われることが多いです。
同じサービス・同じ単位数でも、事業所のある地域によって実際の報酬額に差が出ます。介護事務担当者はもちろん、事業運営に関わるすべての職員が地域区分の仕組みを正しく理解しておくことが、適正な請求管理の基盤となります。
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利用者負担軽減の仕組みの改定
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令和6年8月1日施行 基準費用額の見直し
令和7年8月1日施行 多床室の室料負担
