バーセルインデックスによるADL評価基準(自立、部分介助、全介助・不可能)

Barthel Index(バーセルインデックス)によるADL(日常生活動作)の評価基準と評価実施の例について、詳細に説明・解説します。この記事を見れば、Barthel Index(バーセルインデックス)の評価基準に沿った評価者として、ご利用者のADLの点数を正確に採点することができます。

目次

ADLの定義

ADLは「Activities of Daily Living」の略で、直訳すると「日常生活動作」となります。

ADLは、私たちが日常の生活を送る上で必要となる基本的な動作や活動を指します

バーセルインデックスとは

バーセルインデックスは日常生活活動を評価するためのものです。評価項目は10項目あります。

  1. 食事
  2. 車いすとベッド間の移乗
  3. 整容
  4. トイレ動作
  5. 入浴
  6. 平地歩行
  7. 階段昇降
  8. 更衣
  9. 排便コントロール
  10. 排尿コントロール

バーセルインデックスによるADL評価基準(自立、部分介助、全介助・不可能)

バーセルインデックスの各項目には、主に自立、部分介助、全介助または不可能の3段階か、自立、部分介助または全介助の2段階で評価されます。
各項目によって得点配分は異なりますが、15点、10点、5点、0点のいずれかの点数で採点します。
バーセルインデックスの合計点数は、すべて自立している場合で最高の100点です。
すべての項目で全介助の場合には0点となり、点数が高いほど動作の自立度が高いことを表しています。

バーセルインデックスの評価は各項目の動作をできるかどうかについて普段の状況を踏まえ、必要に応じ実際に利用者に動作を行ってもらい評価します。
評価する際は、食事の場面や入浴の場面など実際の場面で評価することが望ましいですが、難しい場合は聞き取り等も可能です。

食事|バーセルインデックスによるADL評価基準

食事項目の評価基準は、自立10点、部分介助10点、全介助0点の3段階となります。配膳や下前は、食事の評価には含まれません。

食事 自立10点

  • 手が届く範囲に食事を置けば、お皿やテーブルから食べ物を取り、塩や胡椒、バターを塗るなどして一人で食べることができる。
  • 自分でお皿から食べ物をとり適切な時間内に食べることができる。
  • 自助具やエプロンを使用している場合、装着を自分で行うことができる。
  • 標準的な時間内で食べ終えることができる。
  • 自助具を用いても良いですが、その場合は自分で装着できる必要があります。

食事 部分介助の5点

  • 配膳後や接種前に食べ物を切るなどの何らかの介助や見守りが必要。(刻み食など調理室での食事形態の変更は該当しません。)
  • 次は部分解除である5点の例です
  • 食べ物を食べやすいように一口大に切る介助が必要な場合
  • エプロンの装着に介助が必要な場合
  • 食事に時間がかかる場合

食事 全介助0点

食事に全面的な介助が必要な場合

胃ろうや経鼻胃管チューブの場合

なお、胃ろうや経鼻胃管チューブ使用者において、準備から片付けまで一人でされている場合は自立です。

介助者が全て実施している場合は全介助とします。

車いすからベッドへの移乗|バーセルインデックスによるADL評価基準

車いすとベッド間の移乗項目の評価基準は、自立15点、部分介助10点、座ることはできるが移動は全介助5点、全介助または不可能0点の4段階となります。

車いすからベッドへの移乗 自立15点

  • 車いすをベッドに近づける
  • ブレーキをかける
  • サポートを持ち上げる
  • ベッドへ打つ
  • ベッドに横になる
  • 再びを着てベッドの縁に腰掛ける
  • 必要であれば車いすの位置を変えて車いすに移る
  • 一連の動作を一人で安全に行うことができる

車いすからベッドへの移乗 部分介助または見守り10点

  • 一連の動作のいずれかの部分で軽度の解除や安全のための声かけ、見守りが必要

車いすからベッドへの移乗 5点

  • 自分でベッドから起き上がり腰掛けることができるが移乗にかなりの介助が必要

車いすからベッドへの移乗 全介助0点

  • 自分でベッドから起き上がることが難しく、移乗動作も全介助の場合または不可能な場合
  • ベッドから起きて以上することができずにリフトなどを使用している場合

整容|バーセルインデックスによるADL評価基準

整容の評価基準は、自立 5点、部分介助または全介助0点の2段階となります。

整容 自立5点

  • 体を洗う、手や顔を洗う、髪をとかす、歯を磨く、髪をとかすなどの動作を全て一人でできる
  • 男性は髭剃りも評価項目に入っており、引き出しからの出し入れや刃の交換、ソケットへの接続も含めて一人でできる
    髭剃りだけではなくすべての項目において収納などの物品の準備が一人で行える
  • 女性で普段から化粧をしていれば化粧も含めた動作を一人で行うことができる

髪を結んだり、髪型を整えることは整容の評価の対象には含まれません

整容 部分介助または全介助0点

  • 手を洗う、歯磨きをする、髪をとかすことは一人でできますが、洗顔を行うことができずおしぼりを用意する必要がある場合
  • 顔を洗う髪をとかすことは一人でできますが、歯ブラシに歯磨き粉をつける介助が必要な場合

トイレ動作|バーセルインデックスによるADL評価基準

トイレ動作の項目の評価基準は自立 10点、部分介助10点、全介助または不可能0点の3段階となります。

トイレ動作 自立10点

  • 便器へ腰掛ける、便器から立ち上がる、衣服の着脱 、衣類が汚れないように整える、トイレットペーパーを使用するといった一連の動作が一人で安全にできる
  • この時に手すりを使っても構いません。
  • トイレの代わりに差し込み便器や尿器、ポータブルトイレなどを使用している場合は、管理も含めて1人でできる
  • リハビリパンツやパッドを使用していても、トイレ動作自体や濡れたパッドなどの後処理を一人でできる

トイレ動作 部分介助5点

  • 立位バランスが不安定であるために立位を支える介助が必要な場合
  • 衣服の着脱に介助が必要な場合
  • トイレットペーパーの使用に介助が必要な場合

トイレ動作 不可能またはほぼ全介助0点

  • 差込便器や尿器、ポータブルトイレを使用している場合、使用後の洗浄に介助が必要
  • トイレでの排泄が難しく、ベッド上でオムツ交換をしている場合
  • 一連のトイレ動作がほぼ全介助である場合
  • 差込便器や病気ポータブルトイレを使用し動作や後片付けがほぼ全介助の場合

入浴|バーセルインデックスによるADL評価基準

入浴の評価基準は、自立5点、部分介助または全介助0点の2段階となります。途中で休憩をはさんだ場合そこまでの歩行距離で評価を行います。

入浴 自立5点

  • 体や髪の毛を洗う、シャワーを使う、浴槽に入るという一連の動作を、一人で安全に行うことができる。
  • 浴槽に浸かる習慣がない人は、体を洗う、シャワーを使うといった動作が一人で安全にできれる。

入浴 部分介助または全介助0点

  • 体を洗う、シャワーを使う、浴槽に入るといった動作のどれか一つでも見守りや介助が必要
  • 機械浴で入浴している場合
  • 浴槽の出入りに介助が必要な場合、転ぶ危険性があるので入浴中は見守りが必要な場合

平地歩行|バーセルインデックスによるADL評価基準

  • 平地歩行の評価基準は、自立15点、部分介助10点、車いす5点、ジョッキいない0点の4段階となります

平地歩行 自立15点

  • 一人で安全におよそ45メートル以上を連続で歩くことが出来る
  • 装具や杖、車輪付きでないピックアップ歩行器を使用して、一人で安全におよそ40メートルを連続して歩ける
  • 装具を使用する場合には、装具のロック操作を一人で行い立ったり座ったりすることができ、また使用する物品を使う位置に配置することができる必要がある
  • 装具の着脱についてはここでは評価せずに更衣の項目で評価

平地歩行 部分介助10点

  • 見守りや軽度の介助でおよそ45メートル以上歩くことができる
  • セーフティー歩行器や四輪歩行者といった車輪付き歩行器を使用し、一人で安全に45m 以上歩くことができている
  • 見守りや脇を支える程度の解除があれば 45m 以上連続して歩くことができる場合

平地歩行 車いす5点

  • 歩くことができない場合は車いすを一人で安全に駆動し、角を曲がる方向転換をする、テーブルやベッドとトイレまで移動することができ、およそ45メートル以上連続で移動することができる
  • 利用者が歩くことができている場合はこの項目は採点しない

平地歩行 全介助0点

  • 歩行や車いすの駆動はできるが、45メートル以下の場合
  • 車いすでの移動に全面的な介助が必要な場合

階段昇降|バーセルインデックスによるADL評価基準

階段昇降の項目の評価基準は、自立10点、部分介助5点、全介助または不可能0点の3段階となります。

階段昇降 自立10点

  • 手すりや杖を使用し、一人で安全に1回分の昇降ができる

階段昇降 部分介助の5点

  • 手すりや杖を使用しても構いませんが、1回分の昇降に介助や見守りが必要な場合
  • 1階分の階段昇降をすることができるが、一人では危ないので見守りが必要な場合
  • 体を支えるなどの介助が必要な場合

階段昇降 全介助0点

  • 階段昇降に全介助が必要、もしくは1回分の昇降が行えない
  • 1回分の昇降が全介助の場合
  • 3~4段しか昇降ができない場合または全く行えない場合

更衣|バーセルインデックスによるADL評価基準

更衣の項目の評価基準は、自立10点、部分介助5点、できない0点の3段階となります。

更衣 自立10点

  • 普段身に着けている衣服の着脱、ズボンや靴の着脱、装具やコルセットが処方されている場合はそれらの着脱を一人でできる
  • 必要であればサスペンダーや前開きタイプの服を使用しても構わない
  • 女性は処方されている場合を除きガードルやブラジャーの装着は含めない

更衣 部分介助5点

  • 衣服や靴の着脱に介助を要すが、全体として半分以上は自分で行うことができ適切な時間内に終了することが出来る
  • 靴のかかとを入れるときなどに多少の介助が必要だが、全体として半分以上自分で着脱をすることができ適切な時間内に終えることができる

更衣 全介助0点

  • 衣服や靴の着脱などに介助を要し、全体として半分以上に介助が必要な場合

排便コントロール|バーセルインデックスによるADL評価基準

排便コントロール項目の評価基準は、自立 10点、部分介助5点、全介助0点の3段階となります。

排便コントロール 自立10点

  • 昼夜ともに排便のコントロールが可能で、失禁がない場合
  • 必要時に自分で座薬や浣腸を用いて排便をコントロールできている場合
  • 人工肛門を使用している場合は、パウチの交換が一人でできる

排便コントロール 部分解所の5点

  • 時々失禁がある場合や座薬を夜間ちょうど主要2回常用する場合
  • パウチの交換や便破棄に時々介助が必要な場合

排便コントロール 全介助の0点

  • 常に失禁している場合や、常にパウチの交換、便処理に介助が必要な場合

排尿コントロール|バーセルインデックスによるADL評価基準

排尿コントロール項目の評価基準は、自立10点、部分介助5点、全介助0点の三段階となります。

排尿コントロール 自立10点

  • 昼夜ともに排尿のコントロールが可能で失禁がない場合
  • おむつやリハビリパンツを使用している場合でもコントロールが出来ていれば可
  • 留置カテーテルやコンドーム、尿器などを使用している場合はそれらを一人で装着し尿の排泄、正常管理が行え昼夜ともに陰部が乾いている状態

排尿コントロール|バーセルインデックスによるADL評価基準

  • 人工透析を受けており自尿がない方も自立に該当
  • 部分解所の5点
  • 時々失禁がある場合、尿器の準備が間に合わない場合

排尿コントロール 自立5点

  • 例えば、昼夜ともに時々失禁が見られている場合、また昼間は失禁が見られませんが夜は失禁があるためおむつを使用している場合

排尿コントロール 全介助0点

  • 常に失禁している場合
  • カテーテルや集尿器などの装着だけでなく、尿の発揮や物品の正常管理も楷書である場合