目次
特定施設入居者生活介護とは
特定施設入居者生活介護とは、特定施設に入居している要介護者を対象として行われる、日常生活上の世話、機能訓練、療養上の世話のことであり、介護保険の対象となります。
特定施設の対象となる施設は3種類あり、これらの施設が一定の基準を満たし、各自治体から指定を受けることで特定施設として認可され、提供する介護サービスについて「特定施設入居者生活介護」の介護報酬を介護保険から得られるようになります。特定施設の指定を受けている施設としては、軽費老人ホーム(ケアハウス)や介護付き有料老人ホームなどがあります。
実地指導とは
実地指導とは、介護保険事業者として指定を受けている事業者に対して、都道府県や市区町村などの担当者が介護保険サービス事業所へ出向き、適正な事業運営が行われているか確認することです。
特定施設入居者生活介護 実地指導確認項目及び確認文書
厚生労働省は、介護保険の特定施設入居者生活介護について、事業所が人員や設備、運営に関する基準を満たしているかどうか、自治体がチェックすべき標準的な「確認項目・確認文書」を公表しました。自治体に対し何か特別な理由がない限り、原則としてこれら以外の項目・文書の確認は行わないよう促しています。
特定施設入居者生活介護 個別サービスの質に関する事項の実地指導確認項目一覧
確認項目 | 確認文書 |
設備(第177条、第192条の 6) ・平面図に合致しているか【目視】 ・使用目的に沿って使われているか【目視】 | ・平面図 |
内容及び手続の説明及び契約の締結等(第178条、第192条の 7) ・入居申込者又はその家族への説明と同意の手続きを取っているか ・重要事項説明書の内容に不備等はないか | ・重要事項説明書 (入居申込者又は家族の同意があったことがわかるもの) ・入居契約書 |
サービス提供の記録(第 181 条) ・特定施設サービス計画にある目標を達成するための具体的なサービスの内容が記載され ているか ・日々のサービスについて、具体的な内容や利用者の状況等を記録しているか | ・サービス提供記録 ・業務日誌 |
指定特定施設入居者生活介護の取扱方針(第 183 条) ・生命又は身体を保護するため、緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等(身体拘束その他利用者の行動を制限する行為を含む)を行っていないか ・身体的拘束等の適正化を図っているか(身体的拘束等を行わない体制づくりを進める策を講じているか) ・やむを得ず身体的拘束等をしている場合、家族に確認をしているか | ・身体的拘束等廃止に関する(適正化のための)指針 ・身体的拘束等の適正化検討委員会名簿 ・身体的拘束の適正化検討委員会議事録 ・(身体的拘束等がある場合)入居者の記録、家族への確認書 |
特定施設サービス計画の作成(第 184 条) ・利用者の希望を踏まえて特定施設サービス計画が立てられているか ・利用者の有する能力、その置かれている環境等の評価を行っているか ・利用者が現に抱える問題点、自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握しているか ・特定施設サービス計画の作成に当たり、計画策定担当者は他の特定施設従業者と協議しているか ・特定施設サービス計画を本人や家族に説明し、同意を得ているか ・特定施設サービス計画に基づいたケアの提供をしているか ・目標の達成状況は記録されているか ・達成状況に基づき、新たな特定施設サービス計画が立てられているか | ・特定施設サービス計画(利用者又は家族の同意があったことがわかるもの) ・サービス提供記録 ・モニタリングシート |
介護(第 185 条) ・自ら入浴が困難な利用者に対する入浴の回数及び方法は適切か | ・サービス提供記録/業務日誌 |
特定施設入居者生活介護 個別サービスの質を確保するための体制に関する事項
確認項目 | 確認文書 |
従業者の員数(第175条、第192条の 4) ・利用者に対し、従業者の員数は適切であるか ・必要な専門職が揃っているか ・専門職は必要な資格を有しているか | ・勤務実績表/タイムカード ・勤務体制一覧表 ・従業者の資格証 |
管理者(第176条、第192条の 5) ・管理者は常勤専従か、他の職務を兼務している場合、兼務体制は適切か | ・管理者の雇用形態が分かる文書 ・管理者の勤務実績表/タイムカード |
受給資格等の確認(第 11 条) ・被保険者資格、要介護認定の有無、要介護認定の有効期限を確認しているか | ・介護保険番号、有効期限等を確認している記録等 |
利用料等の受領(第 182 条) ・利用者からの費用徴収は適切に行われているか ・領収書を発行しているか ・医療費控除の記載は適切か | ・請求書 ・領収書 |
緊急時等の対応(第 51 条) ・緊急時対応マニュアル等が整備されているか ・緊急事態が発生した場合、速やかに主治の医師又は協力医療機関に連絡しているか | ・緊急時対応マニュアル ・サービス提供記録 |
運営規程(第189条、第192条の 9) ・運営における以下の重要事項について定めているか 1.事業の目的及び運営の方針 2.特定施設従業者の職種、員数及び職務内容 3.入居定員及び居室数 4.指定特定施設入居者生活介護の内容及び利用料その他の費用の額 5.利用者が介護居室又は一時介護室に移る場合の条件及び手続 6.施設の利用に当たっての留意事項 7.緊急時等における対応方法 8.非常災害対策 9.虐待の防止のための措置に関する事項 10 その他運営に関する重要事項 注)外部サービス利用型の場合 1.事業の目的及び運営の方針 2.外部サービス利用型特定施設従業者の職種、員数及び職務の内容 3.入居定員及び居室数 4.外部サービス利用型特定施設入居者生活介護の内容及び利用料その他の費用の額 5.受託居宅サービス事業者及び受託居宅サービス事業所の名称及び所在地 6.利用者が他の居室に移る場合の条件及び手続 7.施設の利用に当たっての留意事項 8.緊急時等における対応方法 9.非常災害対策 10.虐待の防止のための措置に関する事項 11.その他運営に関する重要事項 | ・運営規程 |
勤務体制の確保等(第 190 条) ・サービス提供は特定施設の従業員によって行われているか ・業務の全部又は一部を委託している場合、当該事業者の業務の実施状況について定期的に確認し結果を記録しているか ・資質向上のために研修の機会を確保しているか ・認知症介護に係る基礎的な研修を受講させるため必要な措置を講じているか ・性的言動、優越的な関係を背景とした言動による就業環境が害されることの防止に向けた方針の明確化等の措置を講じている | ・雇用の形態(常勤・非常勤)がわかる文書 ・研修計画、実施記録 ・方針、相談記録 ・委託事業者の業務の実施状況の確認記録 |
業務継続計画の策定等(第 30 条の2) ・感染症、非常災害発生時のサービスの継続実施及び早期の業務再開の計画(業務継続計画)の策定及び必要な措置を講じているか。 ・従業者に対する計画の周知、研修及び訓練を実施しているか ・計画の見直しを行っているか | ・業務継続計画 ・研修及び訓練計画、実施記録 |
非常災害対策(第 103 条) ・非常災害(火災、風水害、地震等)対応に係るマニュアルがあるか ・非常災害時の連絡網等は用意されているか ・防火管理に関する責任者を定めているか ・避難・救出等の訓練を実施しているか | ・非常災害時対応マニュアル(対応計画) ・運営規程 ・避難・救出等訓練の記録 ・通報、連絡体制 ・消防署への届出 ・消防用設備点検の記録 |
衛生管理等(第 104 条) ・必要に応じて衛生管理について、保健所の助言、指導を求め、密接な連携を保っているか ・感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を講じているか ・感染症又は食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会を 6 か月に1 回開催しているか | ・感染症及び食中毒の予防及びまん延防止のための対策を検討する委員会名簿、委員会の記録 ・感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針 ・感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修の記録及び訓練の記録 |
秘密保持等(第 33 条) ・個人情報の利用に当たり、利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意を得ているか ・退職者を含む、従業者が入所者の秘密を保持することを誓約しているか | ・個人情報同意書 ・従業者の秘密保持誓約書 |
広告(第 34 条) ・広告は虚偽又は誇大となっていないか | ・パンフレット/チラシ |
苦情処理(第 36 条) ・苦情受付の窓口があるか ・苦情の受付、内容等を記録、保管しているか ・苦情の内容を踏まえたサービスの質向上の取組を行っているか | ・苦情の受付簿 ・苦情者への対応記録 ・苦情対応マニュアル |
事故発生時の対応(第 37 条) ・事故が発生した場合の対応方法は定まっているか ・市町村、家族、居宅介護支援事業者等に連絡しているか ・事故状況、対応経過が記録されているか ・損害賠償すべき事故が発生した場合に、速やかに賠償を行うための対策を講じているか ・再発防止のための取組を行っているか | ・事故対応マニュアル ・市町村、家族、居宅介護支援事業者等への連絡記録 ・事故対応記録 ・再発防止策の検討の記録 |
虐待の防止(第 37 条の 2) ・虐待の発生・再発防止のための対策を検討する委員会を定期的に開催し、従業者に周知しているか ・虐待の発生・再発防止の指針を整備しているか ・従業者に対して虐待の発生・再発防止の研修及び訓練を実施しているか ・上記の措置を適切に実施するための担当者を設置しているか | ・委員会の開催記録 ・虐待の発生・再発防止の指針 ・研修及び訓練計画、実施記録 ・担当者を設置したことが分かる文書 |
注 1)( )は指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成 11 年厚生省令第 37 号)の該当条項
注 2)指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(令和 3 年厚生労働省令第 9 号)附則により施行期日の定めがある事項に係る確認項目及び確認文書の取扱いは次のとおりとする。
運営規程」のうち虐待の防止のための措置に関する事項、「勤務体制の確保」のうち認知症介護に係る基礎的な研修を受講させるため必要な措置に関する事項、「業務継続計画の策定等」、「衛生管理等」のうち感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策に関する事項、「虐待の防止」令和 6 年 4 月 1 日より適用(令和 6 年 3 月 31 日までは努力義務)
各事業ごとの実地指導(運営指導)での確認項目・確認書類一覧
介護保険の施設サービス
- 介護老人保健施設 実地指導確認項目及び確認文書一覧【2021年介護報酬対応版】
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