入浴介助の手順・方法

入浴介助の手順・方法

入浴は、体を清潔に保つだけでなく、血行促進やリラックス、皮膚や全身状態を観察できる大切なケアです。一方で、温度変化によるヒートショックや、浴室での転倒・溺水など事故のリスクも高い場面です。この記事では、入浴介助の目的・事前チェックから、安全な手順・湯温・観察ポイント・事故防止までを解説します。入浴回数の運営基準は介護施設の入浴回数と運営基準、座ったまま入れるチェアー浴(チェア浴)とは?もあわせてご覧ください。

入浴介助の目的や意義

入浴介助とは、お風呂に入ることやシャワーを浴びることなど身体の清潔を保ち感染症の予防や皮膚の衛生保持、体を温めることでリラックスをすることなどの目的で行われます。介護施設などでは必ず週に何回以上入りなさいという決まりはありませんが多くの施設で週2回程度の入浴回数としているようです。特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護施設の場合にはこのように週2回の入浴介助を行うことが多いですが、訪問介護や通所介護など在宅生活を送る方に対してはその利用者の望む生活に合わせて頻度が調整されたりしています。

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入浴介助前に行うチェック

入浴を行うときには体の温度の変化が激しくなるため入浴する前に体調のチェックを行うことが大切です。特に冬場はヒートショックと呼ばれる室温の変化で体に大きな負荷がかかり倒れてしまうことがあったりします。体調が悪い時には念入りにチェックが必要です。

入浴を行う前のチェックの指標としては客観的な数値で定めておくことも推奨します。

例えば入浴前に血圧測定を行い血圧がいくつ以上だったら看護職員に確認を取るなどです。入浴時にチェックする内容としては以下のようなことが挙げられます。

  • 血圧測定し、血圧が高いもしくは低い状態でないか
  • 体温を測定し発熱していないか
  • 脈拍数に異常がないか、不整脈が出ていないか
  • 呼吸数は普段通りか、呼吸の仕方に異常がないか
  • 表情は普段通りか、火照っていたり青ざめていたりしていないか
  • 食欲は通常通りあるか

もしも体調チェックをした時に異常が見られる場合には、看護職員や医師などに相談して入浴を避けて暖かいタオルで全身を清拭することや、足浴を行いリラックスしていただくなど代替手段で体の衛生を保ちリラックスしていただくことも検討をされるべきです。

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入浴介助の準備

入浴介助を行う時には、入浴に必要な物品や入浴設備を準備します。入浴に必要な物の準備ができていないと、ご利用者を裸のままでまたせなくちゃいけないなど不適切で危険な状態になってしまうこともあるため事前に準備をしっかりしておくようにしましょう。

入浴設備の準備の例

  • 浴槽や浴室内に異常がないかチェックする
  • 浴槽を洗い流し湯を張る準備をする
  • 施設で定めた温度で給湯する
  • 循環型の入浴設備を使っている場合には塩素濃度を測定し規定内か確認する
  • ボディソープや石鹸があるか確認する
  • シャワーチェアや転倒防止マット、手すりなど入浴補助に使う表現を適切な場所に配置する
  • 浴室と更衣室の温度が変化が激しくなりすぎないように暖房設備や換気を調整する(ヒートショックを起こす危険を減らすことと、心地よく入浴する準備をするための観点)
  • 更衣室にバスタオルや椅子などを準備する
  • 体重の測定や衛生管理処置などを行う場合にはその物品を用意する

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入浴介助に使う用品の準備

  • バスタオル(大きくて吸収性が高いもの)
  • ご利用者の着替え(必要に応じてオムツや尿とりパッドなど)
  • スポンジやボディタオル
  • 使い捨て手袋
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入浴介助の手順

入浴準備の手順

  1. 入浴介助前に行う体調チェックにしたがって検温や体調確認を行う
  2. 脱水等を予防するために水分を摂取していただく
  3. ご利用者のトイレを済ませ必要なものを持ってご利用者を浴室へ誘導する

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入浴中の介助の手順

  1. 床やシャワーチェアなどご利用者の肌が触れるところををお湯をかけて温めておく
  2. 床に滑らないように気を付けながら誘導し手すりをしっかり持ち店頭に気をつけながら座っていただく
  3. シャワーの温度を確認しご利用者も適温だと感じる温度で足元からゆっくりとお湯をかけていく
  4. お湯の温度にご利用者が慣れてきたらご利用者に確認しながら頭→上半身→下半身の洗体を行っていく。(洗う順番はご利用者の希望に合わせ、ご利用者が自分でできるところは自分で行なっていただく)
  5. 褥瘡がある場合や傷のある場所にテープなどが貼ってある場合には剥がして患部を洗い流す。
  6. 身体全体を洗い終えたら、石鹸が残らぬように全身を流す。
  7. 転倒に気をつけながら手すりに捕まって立ち上がっていただき浴槽を誘導する。
  8. 浴槽はご利用者の状態に合わせて機械浴槽や個浴などあらかじめケアプランや介護計画で決められた方法で行うこと。
  9. 入浴の時間は基本的には利用者に合わせるがのぼせないように5分程度が目安となる(疾患やリスクが高い方などは看護職員は医師と相談して入浴の時間をあらかじめ決めておく)

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入浴後の介助の手順

  1. 入浴後は浴室から滑らないように脱衣所に移動し、濡れた体や頭をタオルでしっかりと拭き取る。
  2. 椅子に腰掛けていただきゆっくりと着替え(更衣)を行う。この際に褥瘡の処置や傷のある場所へのテープの貼り付け、軟膏の塗布など処置がある場合には看護職員を呼ぶ。
  3. しっかりと水分補給をしていただく
  4. 入浴後に気分が悪くなっていないか体調チェックを行う

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入浴介助のまとめ

入浴をすることは日本人にとってとても重要な生活上の行いの一つです。健康で文化的な生活を送る上で入浴は欠かせないものです。特に介護施設に入所しているご高齢の方にとって入浴が楽しみでもありますし、自分を綺麗に保つための貴重な機会です。

入浴中は事故が多いことも気をつける点です。入浴中に多い事故としては床で滑って転倒してしまうことや、浴槽で湯に浸かっている間に介護職員がその場を離れてしまい溺死してしまうなどの事故もあります。このような場合介護職員は業務上過失で罪となる場合もあるので油断をせずにしっかりと見守りや介助を行うように気をつけましょう。

介護の仕事として入浴介助を行う時には、衛生を保つことと合わせてご利用者の楽しみをできるだけ尊重できるよう、また人に裸を見られるという恥ずかしいものでもありますので陰部など自分でできる場所は自分で洗っていただいたり、裸になった時の体型などを話題にしたりしないようにして心地よく入浴できるように心がけましょう。

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入浴前のバイタルチェックと中止の判断

入浴は体に負担がかかるため、入浴前に必ずバイタルサイン(体温・血圧・脈拍・呼吸)と表情・顔色を確認します。次のような場合は入浴を控え、清拭やシャワー浴に切り替える・時間をずらすなどの判断をします。

  • 発熱(目安として37.5℃以上)や、平熱と大きく異なるとき
  • 血圧が普段より著しく高い・低いとき
  • 食事の直後、飲酒後、体調不良・強い倦怠感があるとき
  • 皮膚の傷や炎症がある場合は、部位の保護や医療職への相談を行う

ヒートショックを防ぐ温度管理

ヒートショックとは、急激な温度差で血圧が大きく変動し、心筋梗塞や脳卒中、浴槽内での失神・溺水を引き起こす現象です。特に冬場は注意が必要です。

  • 脱衣室・浴室をあらかじめ暖めておく(室温25℃前後を目安に、居室との温度差をなくす)。
  • かけ湯は心臓から遠い足先からゆっくり行い、体を湯温に慣らす。
  • 浴室・脱衣室の床の水気をなくし、滑り止めマットを敷く。

安全な湯温・入浴時間と半身浴

お湯の温度は約40℃を目安にします。42℃以上の熱い湯は血圧を急上昇させるため避け、心臓病や高血圧のある方は40℃以下にします。

  • 湯に浸かる時間は5分程度までを目安にし、のぼせ・めまいを防ぐ。
  • 心臓への負担を減らすため、お湯が心臓より下にくる半身浴が高齢者には向いています。
  • 入浴中は絶対に目を離さない。浴槽で湯に浸かっている間にその場を離れると、溺水事故につながります。

入浴は全身状態を観察できる貴重な機会

衣服を脱いだ入浴時は、普段見えない全身の皮膚を観察できる大切なタイミングです。次の点を確認し、異常があれば記録・報告します。

  • 褥瘡(床ずれ)や発赤・内出血・傷の有無(褥瘡とは?好発部位と予防方法
  • むくみ、発疹、乾燥、白癬(水虫)などの皮膚トラブル
  • あざや傷の増加(転倒や、場合によっては虐待のサインのことも)

シャワー浴・機械浴という選択肢

全身浴が難しい方には、座ったまま体を洗い流すシャワー浴や、寝た姿勢・座った姿勢のまま入浴できる機械浴(ストレッチャー浴・チェア浴)という方法があります。体力の低下した方や座位が不安定な方に適しています。チェア浴の詳細はチェアー浴(チェア浴)とは?機械浴との違いをご覧ください。

入浴後のケアと事故防止

  • 体をしっかり拭き、湯冷めを防ぐ。とくに指の間や皮膚のしわは念入りに乾かす。
  • 水分補給を行い、脱水を防ぐ。
  • 再びバイタルや顔色・呼吸を確認し、ふらつきに注意して移動を介助する。
  • 浴室内の転倒・溺水は重大事故につながり、見守りを怠ると業務上過失に問われることもあります。最後まで気を抜かず介助します。

入浴介助に関するよくある質問

Q. 入浴を嫌がる方への対応は?
A. 無理強いせず、理由(寒い・怖い・体調・羞恥心など)を探ります。時間帯や声かけを変える、部分浴から始めるなど工夫し、それでも難しければ清拭で清潔を保ちます。

Q. 陰部や体はどこまで介助しますか?
A. 自分で洗える部分はご本人に洗ってもらい、できない部分だけを介助します。羞恥心に配慮し、体型などを話題にしないことが大切です。

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