介護保険の認定調査とは?調査項目・当日の注意点・結果が出るまでの流れを解説

介護保険の認定調査とは?調査項目・当日の注意点・結果が出るまでの流れを解説

介護保険サービスを利用するためには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。その認定プロセスの中心となるのが「認定調査」です。利用者や家族にとっては「何を聞かれるのか」「どう答えればいいのか」が気になるところであり、介護職員やケアマネジャーにとっても調査の仕組みを正しく理解しておくことが、適切なサービス提供と支援につながります。

この記事では、認定調査の目的・調査項目の内容・当日の注意点・審査から結果が出るまでの流れを実務目線で整理して解説します。

認定調査とは

認定調査とは、介護保険の要介護認定を行うために、市区町村が派遣する認定調査員が申請者(利用者)の自宅や入居施設を訪問し、心身の状態を直接確認する調査のことです。

調査の結果は「認定調査票」としてまとめられ、主治医が作成する「主治医意見書」とともに「介護認定審査会」での審査に使用されます。この審査を経て要介護度(要支援1・2、要介護1〜5)が決定されます。

認定調査は、新規申請・更新申請・区分変更申請のいずれの場合にも行われます。

広 告

誰が調査を行うのか

認定調査は、市区町村の職員または市区町村から委託を受けた介護支援専門員(ケアマネジャー)などが「認定調査員」として行います。新規申請の場合は原則として市区町村の職員が行い、更新申請の場合は指定居宅介護支援事業所のケアマネジャーに委託されることが多いです。

広 告

認定調査の74項目

認定調査では、全国共通の「認定調査票」に基づいて74項目の心身の状態が確認されます。74項目は以下の6つの群に分類されています。

第1群 身体機能・起居動作(13項目)

麻痺の有無・拘縮の有無・寝返り・起き上がり・座位保持・両足立位保持・歩行・立ち上がり・片足立位・洗身・つめ切り・視力・聴力の13項目です。身体の基本的な動作能力と感覚機能を確認します。

第2群 生活機能(12項目)

移乗・移動・嚥下・食事摂取・排尿・排便・口腔清潔・洗顔・整髪・上衣の着脱・ズボン等の着脱・外出頻度の12項目です。日常生活の中での自立度を確認します。

第3群 認知機能(9項目)

意思の伝達・毎日の日課の理解・生年月日や年齢の認識・短期記憶・自分の名前の認識・今いる場所の認識・徘徊・外出したことが分からなくなる・物を盗まれたとの訴えの9項目です。

第4群 精神・行動障害(15項目)

落ち着きのなさ・外に出たがる・感情が不安定・昼夜逆転・同じ話をする・大声を出す・介護への抵抗・不潔行動・物を壊す・食べられないものを食べる・物を集める・物を隠す・独り言や独り笑い・自分を傷つける行為・他人を傷つける行為の15項目です。

第5群 社会生活への適応(6項目)

薬の内服・金銭の管理・日常の意思決定・集団への不適応・買い物・簡単な調理の6項目です。社会生活や家事動作の自立度を確認します。

第6群 過去14日間に受けた特別な医療(12項目)

点滴の管理・中心静脈栄養・透析・ストーマの処置・酸素療法・レスピレーター(人工呼吸器)・気管切開の処置・疼痛の看護・経管栄養・モニター測定・褥瘡の処置・カテーテルの12項目です。医療的ケアの実施状況を確認します。

概況調査と特記事項

74項目の評価に加えて、住環境・家族構成・介護状況などを確認する「概況調査」と、調査員が気づいた本人の状態や状況を自由記述する「特記事項」も記載されます。特記事項は一次判定の結果を修正する根拠となる重要な情報であり、調査員の観察力と記述力が要介護度に影響することがあります。

広 告

認定調査当日の流れ

認定調査当日は、調査員が自宅や施設を訪問し、本人・家族への聞き取りと実際の動作確認を行います。所要時間はおおむね30分〜1時間程度です。

順序内容
① 挨拶・説明調査員が自己紹介と調査の目的・流れを説明する
② 概況の確認住環境・家族構成・介護の状況などを確認する
③ 74項目の聞き取り・動作確認心身の状態について聞き取りと実際の動作を確認する
④ 特記事項の確認調査員が気づいた点や補足情報を記録する
⑤ 終了・説明今後の流れ(審査・結果通知)について説明して終了する
広 告

認定調査当日の注意点

「できるかどうか」ではなく「していること」を答える

認定調査では「実際にどのような状態で生活しているか」を確認します。「頑張ればできる」「やればできるが普段はやっていない」という場合は、普段の実際の状態を正直に伝えることが重要です。調査当日だけ無理をして「できる」状態を見せてしまうと、実態より軽い要介護度に判定されてしまう可能性があります。

「良い日」ではなく「悪い日」の状態も伝える

体調の波がある場合、当日たまたま体調が良い日であっても、体調が悪い日や困っている状況についても具体的に伝えます。「ひどいときはこういう状態になります」という情報が特記事項として記録され、正確な判定につながります。

家族・介護職員が補足説明を行う

本人が自分の状態を過少報告しやすい(「大丈夫」「自分でできる」と答えてしまう)ケースは非常に多くあります。家族や介護職員が同席して、実際の介護の状況・困っていること・夜間の様子などを補足説明することが大切です。

介護職員・ケアマネジャーが準備できること

施設に入居している利用者の認定調査が行われる場合、介護職員は日頃の観察内容を記録としてまとめておき、調査員に伝えられるよう準備しておくことが求められます。食事・排泄・移動・認知機能・夜間の様子などをまとめたメモを調査員に手渡せる状態にしておくと、特記事項への反映に役立ちます。

広 告

認定調査から結果が出るまでの流れ

ステップ内容期間の目安
① 申請市区町村の窓口またはケアマネジャーを通じて要介護認定を申請する申請日
② 認定調査認定調査員が自宅・施設を訪問して74項目の調査を行う申請後1〜2週間程度
③ 主治医意見書の作成市区町村が主治医に意見書の作成を依頼する(申請と並行して進む)申請後1〜4週間程度
④ コンピュータによる一次判定74項目の調査結果をもとにコンピュータが要介護度を仮判定する調査完了後すぐ
⑤ 介護認定審査会による二次判定医師・看護師・介護福祉士などの専門家が一次判定・特記事項・主治医意見書をもとに最終的な要介護度を審査する一次判定後1〜2週間程度
⑥ 認定結果の通知市区町村から「介護保険被保険者証」と「介護保険認定通知書」が送付される申請から原則30日以内

申請から結果通知までの法定期間は原則30日以内です。ただし、主治医意見書の作成に時間がかかる場合や、審査会の日程によっては30日を超えることがあります。その場合は市区町村から延期通知が届きます。

認定結果は申請日にさかのぼって有効となります。結果が出る前であっても、暫定ケアプランを作成することでサービスを先行して利用することができます(ただし認定結果によっては自己負担が生じる可能性があることを利用者・家族に説明しておく必要があります)。

広 告

要介護度が実態と合わないと感じた場合

認定結果に納得できない場合や、実態と大きくかけ離れていると感じる場合は、認定結果通知を受けた日の翌日から60日以内に都道府県の介護保険審査会に不服申し立て(審査請求)を行うことができます。

また、状態が大きく変化した場合は認定有効期間中でも区分変更申請を行うことができます。要介護度が現状に合わなくなったと感じた場合は、担当ケアマネジャーに相談してください。

まとめ

認定調査は74項目の心身状態の確認と特記事項の記録によって行われ、主治医意見書とともに介護認定審査会での審査に使用されます。申請から結果通知までの期間は原則30日以内です。

正確な要介護度の判定のためには、当日の状態だけでなく普段の様子・困っていること・悪い日の状態を正直に伝えることが重要です。介護職員やケアマネジャーは、利用者が適切な要介護度を得られるよう、日頃の観察記録をまとめて調査員に伝える準備をすることが大切な役割のひとつです。

2024年・2025年・2026年
介護保険・介護報酬改定の情報

令和8年度(2026年)障害福祉サービス等報酬改定の概要と変更点まとめ

令和6年~8年 地域区分(介護)区市町村の等級一覧(2024年4月~)

介護保険区分支給限度基準額一覧(要支援・要介護)

令和8年(2026年)介護報酬改定

令和8年(2026年)介護報酬改定後の介護保険サービスごとの介護報酬・単位数

介護保険の居宅サービス介護給付費単位数(対象:要介護)

地域密着型サービスの単位数改定内容

介護予防サービス(対象:要支援)

2026年(令和8年度)・2024年 介護報酬改定で特徴的な加算・制度

利用者負担軽減の仕組みの改定

補足給付(負担限度額認定)に関わる見直しは、以下のとおりです。

令和6年8月1日施行 基準費用額の見直し

令和7年8月1日施行 多床室の室料負担

あなたへのおすすめ