介護施設・介護事業所がブログを書くメリット、注意点

介護施設・介護事業所がブログを運営することは、施設の魅力を発信し、利用者やその家族、ケアマネジャーとの信頼関係を築くのに役立ちます。しかし、ブログを運営する際には、プライバシーの保護や適切な情報発信に十分配慮する必要があります。この記事では、介護施設がブログを書くメリットと注意点を詳しく解説します。

介護施設・介護事業所がブログを書くメリット

施設の魅力をアピールし、見学希望者を増やす

介護施設を探している家族にとって、ブログは施設の雰囲気を知る貴重な情報源となります。写真や記事を通じて、日々の活動やレクリエーションの様子、食事の提供内容などを発信することで、安心感を与え、見学希望者の獲得につながります。

ケアマネージャーへの印象アップ

ケアマネは、利用者やその家族に適した介護サービスを紹介する役割を担っています。ブログで施設の特色や取り組みを発信することで、ケアマネに良い印象を与え、紹介を受けやすくなる可能性があります。また、介護スタッフの専門性や研修状況などを伝えることで、信頼性の向上にもつながります。

職員の採用活動に活用できる

介護業界は慢性的な人材不足が課題となっています。ブログを通じて、職員の働く様子や施設の雰囲気を伝えることで、求職者にとって魅力的な職場であることをアピールできます。実際のスタッフの声や、研修制度の充実度などを発信すると、採用活動の効果が高まります。

家族とのコミュニケーション強化

施設での様子をブログで公開することで、利用者の家族が安心できる情報を得られます。特に遠方に住む家族にとって、ブログを通じて利用者の日常の様子を知れることは大きなメリットです。ただし、利用者のプライバシーには十分配慮する必要があります(後述)。

施設の理念や方針を発信できる

施設がどのような理念を持ち、どのようなケアを提供しているのかをブログで継続的に発信することで、施設の特色を明確に伝えることができます。これにより、施設に共感する利用者や家族、職員の募集につながります。

ブログを書く目的や狙いがはっきりしないならばやらない方が良い

介護施設や介護サービスを紹介するためにブログを運営するならば、その目的や狙いを明確にすることが重要です。もし、運営の目的がはっきりしないまま始めてしまうと、施設の信頼性を損なう可能性があります。

例えば、介護施設のブログであるにもかかわらず、グルメ記事や最近読んだ本の感想など、施設の運営やサービスに関係のない投稿ばかりが目立つと、「この施設は信用できるのか?」「経営者は本気で運営しているのか?」といったネガティブな印象を持たれてしまいます。施設の雰囲気やサービス内容を知りたいと考えている見学希望者やケアマネにとって、有益な情報が少なければ、逆効果になってしまうのです。

また、ブログを運営するならば、読者が次のアクションを取りやすい設計になっていることも重要です。記事を読んだ人が求人情報にアクセスしやすいようにリンクを設置したり、施設見学の申し込み手順を明記しておくことで、ブログの効果を最大限に活かせます。

目的のないブログはかえって施設の信頼を損なうため、運営するならば「誰に向けて、何を伝え、どう行動してほしいのか」を明確にし、適切な情報発信を心がけることが大切です。

ブログ運営時の注意点

利用者の肖像権・プライバシー保護

ブログには、利用者の顔写真や名前を掲載する際には慎重な配慮が必要です。以下の点に注意しましょう。

利用者や家族の許可を得る

写真や動画を掲載する際には、本人や家族の同意を文書で取得することが重要です。可能であれば、個別に同意書を作成しましょう。

個人情報を特定できる情報を避ける

名前や部屋番号、個人的なエピソードなど、個人が特定される情報の掲載は避けましょう。

プライバシーに配慮した写真を使用する

利用者の顔がはっきりと映らない後ろ姿や、手元の写真を活用するなど、プライバシーに配慮した画像の使い方を工夫しましょう。

介護サービスの提供状況との整合性を確保する

ブログに掲載する写真や記事が、施設の業務内容と矛盾しないよう注意が必要です。

不正を疑われる内容を避ける

例えば、「介護サービスを提供している時間帯に、職員が別のことをしている写真」を掲載すると、「適切なケアが提供されていないのでは?」「介護職員として配置されているはずなのに関係のない業務を普段から行っているのではないか」などと誤解を招く可能性があります。業務時間外のイベントや研修の様子を投稿する際には、その旨を明記しましょう。

不適切な写真の投稿を避ける

施設の管理が行き届いていないように見える写真や、不衛生な環境が映り込んだ写真は、施設の評判を損ねる可能性があります。投稿前に慎重にチェックしましょう。

誤解を招く表現を避ける

ブログ記事の内容が誤解を招く表現にならないよう、以下の点に注意しましょう。

過剰な誇張表現を避ける

例:「当施設はどこよりも優れた介護サービスを提供しています」→他施設との比較をする場合は、具体的な根拠を示す必要があります。

科学的根拠のない健康情報を掲載しない

介護や健康に関する情報を発信する際には、厚生労働省や医療機関の公式情報を参考にし、根拠のある内容を掲載しましょう。

SNS連携時のリスク管理

ブログ記事をSNS(FacebookやXなど)で拡散する場合、コメント欄の管理が必要になります。

誹謗中傷のリスクを考慮する

施設の運営方針に対する否定的なコメントが投稿される可能性があります。不適切なコメントには迅速に対応しましょう。

機密情報の漏洩を防ぐ

利用者や職員の個人情報が含まれた内容をSNSで発信しないよう、投稿内容を慎重に管理しましょう。

介護職員が職場の名前を出してブログやSNSをする際の注意点

近年、SNSやブログを活用して情報発信をする人が増えています。介護職員の中にも、仕事の様子や日々の出来事を発信する人がいます。しかし、職場の名前を出して発信する際には、慎重な対応が求められます。

まず、職場のイメージを損なうリスクがあります。例えば、何気なく投稿した写真や発言が、利用者やその家族、同僚に不快感を与える可能性があります。また、個人的な意見が施設全体の方針と誤解されることもあり、信頼低下につながることもあります。

次に、個人情報や機密情報の漏洩リスクが挙げられます。施設の内部情報、業務内容、利用者のエピソードなどを投稿することで、意図せず個人情報が漏洩する危険があります。たとえ名前を伏せたとしても、特定できる情報が含まれていれば問題になる可能性があります。

さらに、職員の行動が不正や不適切な業務運営と疑われる可能性もあります。例えば、「休憩時間の投稿と思われたものが勤務時間中だった」「施設のルールと異なる行動を取っていると見られる」といった誤解が生じることがあります。

まとめ

介護施設・介護事業所がブログを運営することで、施設の魅力を伝え、利用者やその家族、ケアマネとの関係構築に役立ちます。また、職員採用や施設のブランド価値向上にも貢献できます。しかし、利用者のプライバシー保護や、ブログ記事の適切な表現には十分注意が必要です。特に、介護サービスの提供時間との整合性や、不正を疑われるような投稿を避けることが重要です。

施設の信頼性を高め、適切な情報発信を行うことで、より多くの人に選ばれる施設となるよう、ブログを活用していきましょう。