介護施設職員向け「カスタマーハラスメント」対策マニュアル

介護施設職員向け「カスタマーハラスメント」対策マニュアル

本マニュアルは、介護施設職員がカスタマーハラスメントに遭遇した場合の対応を支援するためのものです。カスタマーハラスメントは、利用者またはその家族から職員に対する精神的または身体的な攻撃を指します。

カスタマーハラスメントの理解

介護施設におけるカスタマーハラスメントは、利用者やその家族からの過剰な要求、不適切な言動、権力行使により職員が精神的、身体的に苦痛を感じる行為を指します。このような行為は職員のストレスを増加させ、仕事の質を低下させます。

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カスタマーハラスメントの例

  • 利用者やその家族からの過度な要求
  • 人格否定や侮辱
  • 思い通りにならないと怒りをぶつける
  • 職員のプライバシーを侵害する
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カスタマーハラスメントに対する対応

冷静さを保つ

利用者またはその家族からの攻撃的な言動に直面した場合でも、職員は冷静さを保ち、適切に対応することが重要です。

何を言われたかを整理しながら話を聞く

相手の不満や要求を理解するために、まずは話を聞くことが重要です。その上で、可能な限り理解を示すことで相手を落ち着かせることができます。言われっぱなしではいけないのではないかとも思うかもしれませんが、事実確認を含むクレームや苦情対応と違い、カスタマーハラスメントとして常識の範囲を超えた人格攻撃だと判断した場合にはまずは全部聞くだけ聞きましょう。場合によっては相手を威力業務妨害罪(威力を用いて、他人の業務を妨害するなどの行為)などとして刑事的な手続きをとるなども選択肢になります。威力業務妨害の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となります(刑法第234条)。

上司やリーダーに報告する

カスタマーハラスメントに遭遇した場合、上司やリーダーに早めに報告しましょう。必要に応じて、該当の利用者やその家族とのコミュニケーション方法の改善や対策を相談します。

記録をつける

発生したハラスメントの状況を、事細かに記録しておきましょう。これが後の対策策定や証拠となります。

相談体制を利用する

企業内に相談窓口がある場合は、それを活用してエスカレーションしましょう。上司や本社の専門窓口など、別の人が対応するか判断することもできますし、カウンセラーや専門家からのアドバイスが得られます。

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職員のメンタルヘルス管理

カスタマーハラスメントは職員のメンタルヘルスに深刻な影響を及ぼす可能性があります。職員自身が心身の健康状態をチェックし、必要なサポートを受けられるようにすることが重要です。

  • 定期的な健康チェックを受ける
  • 心に余裕を持つための休息時間を作る
  • ストレス発散方法を見つける
  • 必要な場合は専門家の助けを求める
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適切なコミュニケーションスキル

カスタマーハラスメントを未然に防ぐためには、適切なコミュニケーションスキルが求められます。以下の点を心掛けましょう。

  • 利用者やその家族の気持ちを理解し、尊重する
  • クリアなコミュニケーションを行い、誤解を避ける
  • 自分の意見や感情を適切に伝える
  • 積極的な聞き取りとフィードバックを行う
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カスタマーハラスメントの3つの類型

介護現場のカスタマーハラスメント(カスハラ)は、大きく3つに分けられます。厚生労働省も「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」や事例集を公表しており、組織として対応することが求められています。

類型具体例
身体的暴力たたく、蹴る、つねる、コップを投げつける、唾を吐く など
精神的暴力大声で怒鳴る、人格を否定する、特定の職員への嫌がらせ、理不尽な要求 など
セクシュアルハラスメント必要なく体を触る、抱きしめる、性的な話をする、卑わいな言動 など
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組織として対応する|個人で抱え込まない

2021年度の介護報酬改定で、全ての介護サービス事業者にパワハラ・セクハラ対策が義務づけられ、カスハラについても防止方針の明確化などが求められています。カスハラは、担当者個人の問題ではなく事業所として対応することが原則です。

  • 被害を受けた職員を利用者と1対1にしない(入浴介助などのシフトを調整する)。
  • 対応は複数人で行い、記録を残す。
  • 事業所として、方針・相談窓口・対応手順をあらかじめ決めておく。
  • 悪質・危険なケースは、契約解除や警察・弁護士への相談も選択肢にする。

利用者・家族からのハラスメント全般への対応は介護現場でのハラスメント対応マニュアル、通常の苦情との切り分けは介護での苦情・クレーム対応マニュアルをご覧ください。

認知症の症状との線引き

注意したいのは、認知症などの症状として現れる言動と、故意のハラスメントを分けて考えることです。認知症による興奮や抵抗は、本人の不安や環境が原因のこともあり、ケアの工夫で和らぐ場合があります。一方、常識の範囲を超えた人格攻撃や暴力は、症状とは切り分けて組織対応します。認知症の方への関わり方は高齢者とのコミュニケーションの基本、怒りへの対処はアンガーマネジメントも参考になります。

カスタマーハラスメントに関するよくある質問

Q
カスハラと正当なクレームはどう違いますか?
A

正当なクレームは、サービスの改善につながる指摘です。一方カスハラは、人格否定・暴力・理不尽な要求など、常識の範囲を超えた言動を指します。事実確認が必要な苦情とは切り分けて対応します。

Q
認知症の利用者による暴言も対応が必要ですか?
A

症状としての言動は、不安や環境が原因のことが多く、ケアの工夫で和らぐ場合があります。ただし職員の安全確保は必要で、複数対応や環境調整を行います。

Q
被害を受けたときはどうすればよいですか?
A

一人で抱え込まず、必ず上司・相談窓口に報告します。状況を記録し、シフト調整や複数対応など、事業所として対策を講じます。

まとめ

本マニュアルを通じて、職員の皆様がカスタマーハラスメントに対する理解を深め、その対策について考えるきっかけになれば幸いです。あくまで職員の皆様が安全で快適な職場環境で働くための手引きとなるように作成されたものであり、カスタマーハラスメントが発生した場合は必ず上司や適切な相談窓口に連絡をしてください。

2024年・2025年・2026年
介護保険・介護報酬改定の情報

令和6年~8年 地域区分(介護)区市町村の等級一覧(2024年4月~)

介護保険区分支給限度基準額一覧(要支援・要介護)

令和8年(2026年)介護報酬改定

令和8年(2026年)介護報酬改定後の介護保険サービスごとの介護報酬・単位数

介護保険の居宅サービス介護給付費単位数(対象:要介護)

地域密着型サービスの単位数改定内容

介護予防サービス(対象:要支援)

2026年(令和8年度)・2024年 介護報酬改定で特徴的な加算・制度

利用者負担軽減の仕組みの改定

補足給付(負担限度額認定)に関わる見直しは、以下のとおりです。

令和6年8月1日施行 基準費用額の見直し

令和7年8月1日施行 多床室の室料負担

令和8年8月1日施行 食費基準費用額の1,445円→1,545円、低所得者の食費負担限度額の段階別変更

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