2024年5月8日に新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行したことで、介護施設の対応にも変化が求められています。本記事では、厚生労働省や宮崎県の公的情報に基づき、介護施設の従事者が対応すべき具体的な内容を解説します。
新型コロナウイルス5類移行後の基本的な考え方
2024年5月8日に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことにより、介護施設での対応は以下の基本的な考え方を基に進められています。
個別の判断を重視
5類感染症への移行により、対応の多くが施設や個人の裁量に委ねられることになりました。
リスクに応じた柔軟な対策
高齢者や基礎疾患を持つ方々が利用する施設では、依然として感染予防策が重要です。
自治体や専門機関との連携
感染状況や新たなガイドラインについて、自治体や保健所からの情報を適時確認し、施設運営に反映させます。
基本的な感染対策の継続
介護施設では、高齢者や基礎疾患を持つ方が多く生活しているため、引き続き基本的な感染対策が求められます。特に、高齢者は免疫力が低下しており、感染症が重篤化しやすいリスクがあります。また、集団生活による感染拡大のリスクが高いため、日常的な感染対策の実施が不可欠です。
手指衛生の徹底
手洗いやアルコール消毒をこまめに行い、感染リスクを軽減します。
マスクの着用
施設内では、高齢者や重症化リスクの高い方と接する場合、職員のマスク着用が推奨されます。
換気の実施
定期的に窓を開ける、換気システムを活用するなどして、空気の流れを確保します。
体調管理
毎日の健康チェックを行い、発熱や咳などの症状がある場合は速やかに報告し、出勤を控えます。
感染症発生時の対応
療養および就業期間解除の考え方
5類移行後、感染者の療養期間および職員の就業再開については以下のガイドラインに基づきます。
療養期間
発症日を0日目として5日間を目安に外出を控えることが推奨されています。症状が軽快し、発症後24時間以上経過した場合は、療養解除が可能です。
職員の復帰
症状がない場合でも、発症後10日間は感染防止を考慮し、不織布マスクの着用やハイリスク者との接触を避けることが求められます。
感染が疑われる場合の対応
感染症が疑われる利用者が発生した場合、速やかに以下の対応を行います:
検査の実施
PCR検査や抗原検査の必要性は、かかりつけ医や協力医療機関と相談し決定します。検査を実施する場合、迅速な結果が得られる検査キットを用意しておくと便利です。また、検査に必要な個人防護具(手袋、ガウン、フェイスシールドなど)を常備し、検査後の廃棄物処理方法も事前に確認しておきましょう。
感染者の隔離
他の利用者と接触しないよう専用スペースを設け、看護ケアを実施します。
濃厚接触者の取扱い
5類移行後、濃厚接触者に対する対応は法律上の義務ではなくなりました。ただし、以下の対応が推奨されます:
健康観察の実施
濃厚接触者と特定された職員や利用者には、毎日の検温や健康状態の確認を行います。
業務継続の判断
無症状の場合は勤務を継続可能ですが、感染リスクが高い状況では自主的な感染防止策を講じることが求められます。
報告の必要性
以下の条件を満たす場合、市町村の主管部局や保健所に報告が必要です。
- 同一感染症による死亡者または重篤患者が1週間以内に2名以上発生した場合。
- 感染が疑われる者が10名以上、または施設全体の半数以上発生した場合。
- 通常の発生動向を超える感染が疑われた場合。
報告内容には、発生日時、感染者数、対策状況などを詳細に記載します。
面会やイベントの対応
面会時の注意事項
5類移行後、面会の制限は各施設の判断に委ねられていますが、以下の点に留意してください:
訪問者の健康確認
面会前に検温や症状の有無を確認します。検温は非接触型の体温計を使用し、37.5°C以上の場合は面会を控えていただくよう依頼します。また、症状確認のために簡易なチェックリストを用意し、咳や倦怠感などの症状を確認する仕組みを設けます。この確認はすべての訪問者に毎回実施します。
感染対策の徹底
マスクの着用や手指消毒を推奨します。
感染したまたは感染リスクが高い入所者・利用者について
感染が確認された場合やリスクが高い場合、以下の措置を講じます:
専用スペースの確保
感染者は他の利用者と隔離し、専用のケア体制を整えます。
健康状態のモニタリング
感染が疑われる利用者については、定期的に検温や症状の変化を記録し、必要に応じて医療機関と連携します。
イベントの実施
感染状況に応じて柔軟に対応します。
- 小規模イベントを優先し、大人数の参加は控える。
- 屋外や換気の良い場所での開催を検討する。
法律上の変更点と公費支援
隔離の義務
5類移行後、法律に基づく隔離や外出自粛の義務はありません。ただし、以下の対応が推奨されます。
発症後5日間の外出自粛
症状が続く場合は、軽快して24時間が経過するまで外出を控えます。
感染拡大防止の配慮
発症後10日間は高齢者との接触を避け、不織布マスクを着用します。不織布マスクは、BFE(細菌ろ過効率)やPFE(微粒子ろ過効率)が95%以上のものを推奨します。また、フィット感が高く顔に密着するデザインのマスクを使用することで、さらなる感染予防効果が期待できます。
医療費の負担
5類移行後、新型コロナウイルス感染症に関する診療は一般診療と同様、健康保険の適用となり、自己負担が生じます。ただし、一定期間は公費支援が継続される場合があります。
今後の課題と注意点
感染症対策の習慣化
5類移行後も、基本的な感染対策を施設全体で徹底する必要があります。
最新情報の確認
厚生労働省や地方自治体からの通知を定期的に確認し、対応をアップデートします。例えば、厚生労働省の公式ウェブサイトや地方自治体の感染症対策ページには、最新のガイドラインや支援制度が掲載されています。
コミュニケーションの強化
利用者やその家族、職員との情報共有を密に行い、不安を軽減します。
まとめ
新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことで、介護施設の対応は柔軟性が求められる時代に入りました。基本的な感染対策を継続しつつ、利用者と職員の安全を確保するため、最新のガイドラインに基づいた対応を心掛けましょう。