介護保険の「サービスコード」とは?

介護保険制度において、介護報酬の請求やサービス実績の記録に欠かせないものの一つが「サービスコード」です。これは介護事業者が日々の業務を行ううえで理解しておくべき基本項目であり、正しく扱わなければ請求誤りや返戻の原因にもつながります。

本記事では、サービスコードの意味や構造、実務での使われ方について、介護事業者の研修目的に沿ってわかりやすく解説します。

サービスコードとは何か

サービスコードとは、介護保険における各サービスや加算、減算などを識別するために厚生労働省が定めている統一的な番号のことです。訪問介護、通所介護、福祉用具貸与といったサービスの種類ごとに細かく設定されており、全国どの介護事業所でも共通して使用されます。

このコードをもとに、事業者は介護給付費の請求(レセプト)を国保連に対して行います。サービスコードの入力に誤りがあると、適切に報酬を受け取ることができず、返戻や減算の対象となるため、コードの正確な理解は極めて重要です。

サービスコードの構成

サービスコードは通常、アルファベットと数字の組み合わせで構成されています。以下に例を挙げて、構造の一部を解説します。

例)「111111」:訪問介護(身体介護中心)20分未満

桁数 内容 備考
1~2桁目 サービス種別コード 「11」=訪問介護、「12」=通所介護など
3~6桁目 単位区分・提供時間・加算区分など 内容に応じて細分化されている

このように、各コードはサービスの種別、提供内容、時間数、加算の有無などをすべて含んだ番号体系となっており、介護報酬算定の根拠として用いられます。

サービスコードの利用場面

サービスコードは、次のような実務の中で日常的に使われます。

介護請求ソフトへの入力

実績入力時に利用したサービスに該当するコードを入力。ソフトが自動で点数や単位を算出する仕組みになっています。

サービス提供票・実績票の作成

ケアマネジャーが作成するサービス提供票にもコードが記載され、事業所側の実績管理と照合されます。特に居宅介護支援事業所のケアマネージャーは、区分支給限度額の範囲内でサービスを調整するため、提供表にはサービスコードも入力し予定では何単位の利用になるのかなどを計算しています。居宅サービスの場合には、ケアマネとサービスコードの認識のずれがないように注意しましょう。

国保連へのレセプト請求

請求時の明細書には、すべてサービスコードに基づいた請求項目が並びます。誤ったコードでは正当な報酬が得られません。

加算の取得・管理

例えば「特定事業所加算」や「個別機能訓練加算」などもそれぞれ固有のサービスコードがあり、さらに細かい条件によって(Ⅰ)や(Ⅱ)、イ・ロ・ハなど、サービスが異なっているので、条件を満たしたうえで適切に選定されていることが必要です。また、事業所の独断で加算を設定せず、ケアマネなどの関係者や利用者にも説明をして同様いただく必要があります。

代表的なサービスコード一覧(例)

以下は、介護保険制度で頻繁に使用される代表的なサービスのサービスコードの一例です。事業所の種別や提供するサービス内容によって異なるため、あくまで一部の例として参考にしてください(※実際の運用では最新版のコードマスタを参照してください)。

サービス名 サービスコード例 内容
訪問介護 111111 身体介護中心型:20分未満
訪問介護 111112 身体介護中心型:20分以上30分未満
訪問介護 111213 生活援助中心型:45分以上
通所介護(デイ) 117131 通所介護:通常規模型(7〜8時間)
通所介護 117139 入浴介助加算(Ⅰ)
訪問看護 123101 訪問看護(基本療養費):週3日まで
福祉用具貸与 130101 車いす:月額単位
特定施設入居者介護 166131 特定施設サービス提供:通常規模

※上記はあくまで例であり、介護報酬改定によりコードや単位、区分が変更になることがあります。実際の請求業務では必ず最新版を確認してください。

サービスコードを扱う上での注意点

サービスコードは法改正や報酬改定にあわせて定期的に更新されます。特に介護報酬改定が行われる年(通常3年に1度)には、多くのコードが新設・廃止・再編されるため、必ず最新版の資料を確認することが重要です。

また、同じサービスでも時間帯や曜日(深夜・早朝・休日)によって異なるコードが割り振られているため、現場と事務の連携、サービス記録の正確性が欠かせません。

サービスコードを確認するには

サービスコードは、以下の資料やサイトで確認できます。

  • 厚生労働省や都道府県・市区町村の「介護報酬単位表マスタ」
  • 国保連合会の「介護給付費請求マニュアル」
  • 介護ソフト提供会社(例:カイポケ、ほのぼのNEXT、ワイズマンなど)のコード一覧・更新情報

各事業所では、業務開始前や新人研修の際に最新コード表を用いた研修を行い、日常的に誤りのない入力ができる体制を整えることが推奨されます。

まとめ

サービスコードは介護報酬を正しく受け取るための基盤であり、事務・現場スタッフ問わず基本的な理解が欠かせません。実際のコードは毎回の法改正や通知によって変更されるため、厚労省の公式資料や国保連の手引きを元に、必ず最新版を確認しながら運用することが大切です。