訪問介護 運営指導確認項目及び確認文書一覧【2024年版】

2024年に改定された介護保険の「訪問介護」の運営指導確認項目及び確認文書一覧を紹介します。厚生労働省は介護事業所・施設に対する自治体の運営指導のマニュアルを作成し、運営指導において確認する項目・確認する文書を明示しています。

訪問介護とは

訪問介護とは、訪問介護員(訪問ヘルパー)などが、要介護者等などの利用者の居宅を訪問して、入浴・排せつ・食事などの介護、調理・洗濯・掃除などの家事を提供する介護保険サービスをいいます。

運営指導とは

運営指導とは、介護保険事業者として指定を受けている事業者に対して、都道府県や市区町村などの担当者が介護保険サービス事業所へ出向き、適正な事業運営が行われているか確認することです。

実地指導とは 介護保険指定事業者の適正な運営を確認すること

訪問介護 運営指導確認項目及び確認文書

厚生労働省は、介護保険の訪問介護について、事業所が人員や設備、運営に関する基準を満たしているかどうか、自治体がチェックすべき標準的な「確認項目・確認文書」を公表しました。自治体に対し何か特別な理由がない限り、原則としてこれら以外の項目・文書の確認は行わないよう促しています。

確認項目及び確認文書

訪問介護 個別サービスの質に関する事項の実地指導確認項目一覧

確認項目確認文書
内容及び手続の説明及び同意(第 8 条)
・利用申込者又はその家族への説明と同意の手続きを取っているか
・重要事項説明書の内容に不備等はないか
・重要事項説明書
(利用申込者又は家族の同意があったことがわかるもの)
・利用契約書
心身の状況等の把握(第 13 条)
・サービス担当者会議等に参加し、利用者の心身の状況把握に努めているか
・サービス担当者会議の記録
居宅介護支援事業者等との連携(第 14 条)
・サービス担当者会議等を通じて介護支援専門員や他サービスと連携しているか
・サービス担当者会議の記録
居宅サービス計画に沿ったサービスの提供(第 16 条)
・居宅サービス計画に沿ったサービスが提供されているか
・居宅サービス計画
・訪問介護計画(利用者の同意があったことがわかるもの)
サービス提供の記録(第 19 条)
・居宅サービス計画等にサービス提供日及び内容、介護保険法第 41 条第6項の規定により利用者に代わって支払いを受ける費用の額等が記載されているか
・サービス提供記録に提供した具体的サービス内容等が記録されているか
・居宅サービス計画
・サービス提供記録
指定訪問介護の具体的取扱方針(第23 条)
・生命又は身体を保護するため、緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等(身体拘束その他利用者の行動を制限する行為を含む)を行っていないか
・身体的拘束等を行う場合に要件(切迫性、非代替性、一時性)を全て満たしているか
・身体的拘束等を行う場合、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しているか
・身体的拘束等の記録(身体的拘束等がある場合)
訪問介護計画の作成(第 24 条)
・利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえているか
・サービスの目標、当該目標を達成するための具体的サービスの内容等を記載しているか
・居宅サービス計画に基づいて訪問介護計画が立てられているか
・利用者又はその家族への説明、利用者の同意を得ているか
・計画作成後、当該計画の実施状況の把握を行い、必要に応じて当該計画の変更を行っているか
・居宅サービス計画
・訪問介護計画(利用者の同意があったことがわかるも
の)
・アセスメントの結果がわかるもの
・モニタリングの結果がわかるもの

訪問介護 個別サービスの質を確保するための体制に関する事項の運営指導確認項目一覧

確認項目確認文書
訪問介護員等の員数(第 5 条)
・利用者に対し、訪問介護員等の員数は適切であるか
・必要な資格は有しているか
・従業者の勤務体制及び勤務実績がわかるもの(例:勤務体制一覧表、勤務実績表)
・従業者の勤怠状況がわかるもの(例:タイムカード、勤怠管理システム)
・資格要件に合致していることがわかるもの(例:資格証の写し)
管理者(第 6 条)
・管理者は常勤専従か、他の職務を兼務している場合、兼務体制は適切か
・管理者の雇用形態がわかるもの
・管理者の勤務体制及び勤務実績がわかるもの(例:勤務体制一覧表、勤務実績表)
・管理者の勤怠状況がわかるもの(例:タイムカード、勤怠管理システム)
受給資格等の確認(第 11 条)
被保険者資格、要介護認定の有無、要介護認定の有効期限を確認しているか
・介護保険番号、有効期限等を確認している記録等
利用料等の受領(第 20 条)
・利用者からの費用徴収は適切に行われているか
・領収書を発行しているか
・請求書
・領収書
緊急時等の対応(第 27 条)
・緊急事態が発生した場合、速やかに主治の医師に連絡しているか
・運営規程
・サービス提供記録
運営規程(第 29 条)
・運営における以下の重要事項について定め
ているか
1.事業の目的及び運営の方針
2.従業者の職種、員数及び職務の内容
3.営業日及び営業時間
4.指定訪問介護の内容及び利用料その他の費用の額
5.通常の事業の実施地域
6.緊急時等における対応方法
7.虐待の防止のための措置に関する事項
8.その他運営に関する重要事項
・運営規程
勤務体制の確保等(第 30 条)
・サービス提供は事業所の訪問介護員等によって行われているか
・資質向上のために研修の機会を確保しているか
・性的言動、優越的な関係を背景とした言動による就業環境が害されることの防止に向けた方針の明確化等の措置を講じているか
従業者の勤務体制及び勤務実績がわかるもの(例:勤務体制一覧表、勤務実績表)
・雇用の形態(常勤・非常勤)がわかるもの
・研修の計画及び実績がわかるもの
・職場におけるハラスメントによる就業環境悪化防止の
業務継続計画の策定等(第 30 条の2)
・感染症、非常災害発生時のサービスの継続実施及び早期の業務再開の計画(業務継続計画)の策定及び必要な措置を講じているか
・訪問介護員等に対する計画の周知、研修及び訓練を定期的に実施しているか
・定期的に計画の見直しを行い必要に応じて計画の変更を行っているか
・業務継続計画
・研修の計画及び実績がわかるもの
・訓練の計画及び実績がわかるもの
衛生管理等(第 31 条)
・感染症の発生又はまん延しないよう次の措置を講じているか
・ 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会開催(おおむね6月に1回以上)、その結果の周知
・ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針の整備
・ 感染症の予防及びまん延防止のための研修及び訓練の定期実施
・感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会の開催状況・結果がわかるもの
・感染症の予防及びまん延の防止のための指針
・感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練の実施状況・結果がわかるもの
秘密保持等(第 33 条)
・個人情報の利用に当たり、利用者(利用者の情報)及び家族(利用者家族の情報)から同意を得ているか
・退職者を含む、従業者が利用者の秘密を保持することを誓約しているか
・個人情報の利用に関する同意書
・従業者の秘密保持誓約書
広告(第 34 条)
・広告は虚偽又は誇大となっていないか
・パンフレット/チラシ
・web 広告
苦情処理(第 36 条)
・苦情受付の窓口を設置するなど、必要な措置を講じているか
・苦情を受け付けた場合、内容等を記録し、保存しているか
・苦情の受付簿
・苦情への対応記録
事故発生時の対応(第 37 条)
・市町村、利用者家族、居宅介護支援事業者等に連絡しているか
・事故状況、事故に際して採った処置が記録されているか
・損害賠償すべき事故が発生した場合に、速やかに賠償を行っているか
・市町村、利用者家族、居宅介護支援事業者等への連絡状況がわかるもの
・事故に際して採った処置の記録
・損害賠償の実施状況がわかるもの
虐待の防止(第 37 条の 2)
・虐待の発生又はその再発を防止するため次の措置を講じているか
・ 虐待の防止のための対策を検討する委員会の定期開催及びその結果の訪問介護員等への周知
・ 虐待の防止のための指針の整備
・ 虐待の防止のための研修の定期実施
上記の措置を適切に実施するための担当者を置いているか
・虐待の防止のための対策を検討する委員会の開催状況及び結果がわかるもの
・虐待の防止のための指針
・虐待の防止のための研修の計画及び実績がわかるもの
・担当者を置いていることがわかるもの

注) 確認項目の条項は「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成 11 年厚生省令第 37 号)」から抽出・設定したもの

各事業ごとの実地指導(運営指導)での確認項目・確認書類一覧

介護保険の施設サービス

介護保険の居宅サービス