月途中の区分変更、要支援から要介護の給付管理の方法

月の途中に区分変更が認定された場合、給付管理票・請求明細書の記載方法は通常月とは異なります。本記事では、ケアマネジャーおよびサービス事業者が現場ですぐに使えるよう、処理の流れと記載ルールを具体的に解説します。

 

この記事のポイント

給付管理票は「月末時点の支援事業所」が作成する
要介護状態区分は「月を通じて重い方」を記載する
請求明細書には「月末時点の情報」を記載し、変更前のサービスは「中止:理由5」を入れる
月額報酬のサービス(介護予防訪問介護等)は変更がある場合日割り計算用コードで請求する

 

目次

月途中の区分変更とは何か

「区分変更」とは、利用者が月の途中に要介護(要支援)認定の区分変更申請を行い、その月のうちに新しい認定結果が出ることをいいます。特に要支援から要介護(またはその逆)へと認定区分をまたぐ変更が生じた場合、関わる保険者・制度・担当事業所が切り替わるため、給付管理の処理が複雑になります。

なぜ複雑になるのか

要支援と要介護では、サービスの種類・サービスコード・請求様式・担当する事業所(居宅介護支援事業所 vs 介護予防支援事業所)がすべて異なります。同じ月の中でこれらが切り替わるため、どちらの情報をどの書類にどのように記載するかについて、明確なルールに従う必要があります。

区分変更のパターンは主に以下の2種類です。

変更パターン 月前半 変更後(月後半) 主な担当変更
① 要介護 → 要支援 居宅介護支援事業所が担当 地域包括支援センターが担当 ケアマネ → 地域包括
② 要支援 → 要介護 地域包括支援センターが担当 居宅介護支援事業所が担当 地域包括 → ケアマネ

処理の基本ルール(3つの大原則)

月途中で要支援↔要介護をまたぐ区分変更があった場合、以下の3つの原則が処理の基本となります。すべての記載ルールはこの原則から導かれます。

原則① 給付管理票は「月末時点の支援事業所」が作成・提出する

例えば月の16日に要介護→要支援へ変更となった場合、月末時点で担当しているのは地域包括支援センターです。この場合、給付管理票は地域包括支援センターが作成・提出します。居宅介護支援事業所は提出しません。

原則② 要介護状態区分は「月を通じて重い方」を記載する

給付管理票の要介護状態区分欄には、その月に適用された区分のうち、より重い方(例:要介護1と要支援2なら要介護1)を記載します。請求明細書(様式第二等)は月末時点の区分を記載します。

原則③ 月額報酬のサービスは変更があれば「日割り計算」で請求する

介護予防訪問介護など月単位の報酬体系をとるサービスは、要介護認定区分の変更(要支援↔要介護のまたぎを含む)があった場合、日割り計算用のサービスコードを使用して請求します。

給付管理票の記載方法

給付管理票(様式第十一)の記載において、月途中に区分変更がある場合に特別な取り扱いが必要となる項目を順に解説します。

要介護状態区分の記載

サービス利用票(控)に記載された要介護状態区分を記載しますが、月途中に変更があった場合は「いずれか重い方の要介護状態区分」を記載します。

記載例

4月1日〜4月15日:要介護1(居宅介護支援)
4月16日〜4月30日:要支援2(介護予防支援)

給付管理票の要介護状態区分欄には「要介護1」を記載する

注意点:経過的要介護について

月途中で要介護状態と要支援状態をまたぐ変更があった場合、介護予防支援事業者(地域包括支援センター)が「経過的要介護」から「要介護5」の記載を行う場合があるため、連携・確認が必要です。

作成区分の記載

給付管理票の作成区分(1.居宅介護支援事業者作成 / 2.被保険者自己作成 / 3.介護予防支援事業者作成)は、月末時点での作成者の番号を○で囲みます。

変更パターン 月末時点の担当 作成区分
要介護 → 要支援 介護予防支援事業者(地域包括) 3を○で囲む
要支援 → 要介護 居宅介護支援事業者 1を○で囲む

居宅介護/介護予防支援事業所情報

居宅サービス計画もしくは介護予防サービス計画を作成した事業所の情報(事業所番号、名称、所在地・連絡先)を記載します。月途中で変更がある場合は、月末時点の担当事業所の情報を記載します。

参考:居宅サービス計画書(ケアプラン) 第1表~第7表の様式(介護健康福祉のお役立ち通信)

給付計画単位数

サービス利用票別表(控)のサービス種類ごとの区分支給限度基準内単位数を記載します。月額報酬のサービスで区分変更があった場合は、日割りで算出された単位数を記載します。

給付管理票の「合計単位数」について

月途中に要支援↔要介護をまたぐ変更があった場合、同一月内に要介護サービスと介護予防サービスの両方が記載されることがあります。この場合、それぞれのサービス事業所の給付計画単位数を別々の行に記載し、合計欄に合算します。

請求明細書(様式第二等)の記載方法

サービス事業所が作成する請求明細書にも、月途中の区分変更に関する特別な記載ルールがあります。

要介護状態区分・認定有効期間

請求対象となる期間における要介護状態区分と認定有効期間を記載します。月の途中で変更があった場合は、月の末日における情報を記載します。

参考:介護保険の認定有効期間は何か月? | 介護保険の基礎知識(介護健康福祉のお役立ち通信)

様式に記載欄がない場合の補記について

例えば「要介護1→要支援1」に変更となった場合、月末時点は要支援1ですが、様式第二(居宅サービス用)には要支援の記載欄が存在しません。
この場合は、余白に四角囲み等、明確な形で「要支援1」と補記します。「要1」などの省略は不可で、正確な名称を記載してください。

逆に要支援→要介護となった場合の様式第二の二(介護予防サービス用)についても同様に補記対応が必要です。

中止年月日・中止理由

月の途中にサービスの提供を中止した場合(区分変更によりサービス種別が切り替わった場合を含む)に、最後にサービスを提供した日付と中止理由を記載します。

状況 中止年月日 中止理由
月途中に要介護↔要支援をまたぐ変更でサービスが終了した 最後にサービスを提供した日付 「5. その他」を○で囲む
医療機関入院によるサービス中止 最後にサービスを提供した日付 「3. 医療機関入院」を○で囲む
翌月以降もサービス継続 記載しない 記載しない

月額報酬サービスのコード使い分け(日割り計算)

介護予防訪問介護や小規模多機能型居宅介護など月額報酬のサービスは、区分変更(要支援↔要介護のまたぎを含む)があった場合、月単位の報酬ではなく、日割り計算用のサービスコードを使用して請求します。

日割り計算が必要になる主な場面

  • 月の途中から要介護→要支援(またはその逆)に変更になった場合
  • 月の途中から生活保護が適用(または解除)された場合
  • 月の途中でサービス事業所が変更になった場合
  • 月の途中から保険者をまたぐ異動があった場合
  • 日割り計算の際は、それぞれの区分に応じたサービスコード(「要介護3・日割」「要支援2・日割」など)を使い、該当期間の日数分を請求します。

ケース別・具体的な処理例

ケース① 要介護1 → 要支援2(月16日に変更)の場合:訪問介護サービス

状況:4月1日〜15日は居宅介護支援のもと訪問介護(要介護1)、4月16日から要支援2へ変更となり、介護予防訪問介護に切り替わった。

様式第二(居宅サービス用:変更前の訪問介護分)

要介護状態区分 月末時点の「要支援2」を記載。ただし様式第二に要支援の記載欄がないため、余白に「要支援2」と明確に補記する

居宅サービス計画 月末時点の担当事業所(介護予防支援事業所)の事業所番号を記載

中止年月日 4月15日(最後に訪問介護を提供した日)

中止理由 「5. その他」を○で囲む

様式第二の二(介護予防サービス用:変更後の予防訪問介護分)

要支援状態区分 「要支援2」を記載

開始年月日 4月16日(要支援に変更となり、介護予防サービスの提供を開始した日)

サービスコード 月額の予防訪問介護コードではなく、「日割り計算用」のサービスコードを使用し、16日〜30日分の日数(15日)で請求

給付管理票

作成者:月末時点の担当である介護予防支援事業所(地域包括)が作成・提出
要介護状態区分:より重い方の「要介護1」を記載(支給限度基準額も要介護1のものを記載)
給付計画単位数:訪問介護分(要介護サービス)と介護予防訪問介護分(予防サービス、日割り単位数)を別行に記載し合算
作成区分:「3. 介護予防支援事業者作成」を○で囲む

ケース② 要支援2 → 要介護1(月中旬に変更)の場合:小規模多機能型居宅介護

状況:月の途中(例:25日)に要介護2へ変更(要介護3→要介護2など、要介護同士の変更を含む)。小規模多機能型居宅介護を利用。

小規模多機能型居宅介護の特別ルール

小規模多機能型居宅介護は、月の途中で要介護区分の変更(経過的要介護〜要介護5の間の変更も含む)があった場合、月単位の報酬ではなく日割り計算用コードで請求します。変更前・変更後それぞれの区分に応じたコードを使い、各期間の日数分を請求します。

請求イメージ(例:4月1日〜24日:要介護3、4月25日〜30日:要介護2)

小規模多機能型居宅介護3・日割 4/1〜4/24 24日 日割り単位数×24日
小規模多機能型居宅介護2・日割 4/25〜4/30 6日 日割り単位数×6日
初期加算(該当する場合) — — 別途加算

給付管理票の作成は小規模多機能型居宅介護事業所が行う

小規模多機能型居宅介護の場合、給付管理票は居宅介護支援事業所ではなく、小規模多機能型居宅介護事業所が作成・提出します。居宅サービス計画作成区分は「1. 居宅介護支援事業者作成」を記載(事業所が作成する場合も同様)。なお、居宅介護支援費の報酬は小規模多機能型居宅介護費に含まれているため、別途様式第七(居宅介護支援明細書)で請求することはできません。

ケース③ 短期入所サービス利用中に区分変更があった場合

状況:短期入所を利用中に月途中で要介護↔要支援をまたぐ変更があり、サービスを終了した。

退所年月日の記載ルール

月途中に要介護状態・要支援状態をまたぐ変更認定等があり短期入所サービスを終了した場合は、当該月における最初の退所した日付(最後にサービスを提供した日の翌日または変更認定日)を退所年月日として記載します。

連続入所30日ルール

当該月に退所がなく月末日において入所が継続している場合は退所年月日を記載しません。ただし、連続入所が30日を超える場合は30日目を退所日とみなして記載します。

処理チェックリスト

月途中に要支援↔要介護をまたぐ区分変更が発生した際の、確認・対応チェックリストです。

給付管理票(作成担当事業所向け)

給付管理票の作成・提出は月末時点の担当事業所が行っているか
要介護状態区分は月を通じて重い方を記載しているか
支給限度基準額は月を通じて重い方の区分のものを記載しているか
作成区分は月末時点の担当者の番号を○で囲んでいるか
月額報酬サービスがある場合、日割り計算後の単位数を給付計画単位数に記載しているか
変更前・変更後のサービス事業所の情報が両方記載されているか

請求明細書(各サービス事業所向け)

要介護状態区分に月末時点の区分を記載しているか
様式に記載欄がない場合、余白に正式名称で補記しているか(省略表記は不可)
中止年月日に最後のサービス提供日を記載しているか
中止理由として「5. その他」を記載しているか(区分変更によるサービス終了の場合)
月額報酬サービスは日割りコードを使用しているか
請求事業所欄にサービスを提供した事業所の情報を記載しているか

よくある疑問・注意点

月途中で変更があった場合、変更前の居宅介護支援事業所も給付管理票を提出する必要がある?

不要です。給付管理票の提出は月末時点の担当事業所が1件のみ行います。ただし、変更前の事業所が担当した分のサービスは、給付管理票内にサービス事業所情報(事業所番号・サービス種類コード・給付計画単位数)として記載されます。

区分変更の認定日と実際のサービス切り替え日が異なる場合はどう処理する?

認定の効力は申請日に遡って発生するため、サービス切り替えは認定の効力開始日(= 申請日)から行うのが原則です。ただし実務上の調整が必要な場合は保険者への確認が推奨されます。請求明細書の中止年月日・開始年月日はサービスの実際の提供日に基づいて記載します。

夜間対応型訪問介護の基本料は日割り計算しなくていい?

夜間対応型訪問介護の基本夜間対応型訪問介護費(月額)は、利用者が月の途中で別の事業所に変更した場合などであっても日割り計算は行いません。ただし定期巡回サービス分は回数・日数に応じて算定します。

小規模多機能型居宅介護で月の途中からサービスを開始した場合は?

月の初日から利用契約を結んでいても、実際のサービス開始が月途中の場合は日割り計算用コードを使用します。なお、日割り計算の起算日は契約日ではなく、実際にサービスを開始した日です。

介護予防支援を居宅介護支援事業所に委託していた場合、誰が給付管理票を提出する?

給付管理票の提出者は介護予防支援事業所(地域包括支援センター)です。ただし、給付管理票内の「委託先の支援事業所番号」欄に委託先の居宅介護支援事業所番号と担当介護支援専門員番号を記載します。

まとめ

月途中に要支援↔要介護をまたぐ区分変更が生じた場合、給付管理と請求処理は通常月とは異なる対応が必要です。以下のポイントをおさえておくことで、ミスなくスムーズに処理できます。

確認項目とルール

  • 給付管理票の作成者は、月末時点の担当事業所が作成・提出する(変更前の事業所は提出しない)
  • 要介護状態区分(給付管理票)には、月を通じて重い方の区分を記載する
  • 要介護状態区分(請求明細書)には、月末時点の区分を記載。様式に記載欄がない場合は余白に正式名称で補記する
  • 作成区分(給付管理票)には、月末時点の担当者の番号を○で囲む
  • 中止年月日・中止理由には、最後のサービス提供日を記載し、中止理由は「5. その他」を選択する
  • 月額報酬サービスのコードには、区分変更があった場合は日割り計算用コードを使用する

実務上の最重要ポイント

区分変更が月末に近いほど影響範囲が小さくなりますが、月の前半に変更が生じた場合は、変更前後の両方のサービスが同一月内に混在します。その際は、「誰が給付管理票を出すか」「どちらの様式を使うか」「日割りか月額か」の3点を最初に確認することが、処理ミスを防ぐ近道です。不明な点は早めに保険者や国保連合会に確認するようにしましょう。